臍帯血(さいたいけつ)

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へその緒(臍の緒)

医療現場で不要とされてきたへその緒

母親と胎児を結ぶ臍の緒。その中に含まれる血液を臍帯血(さいたいけつ)といいます。 その臍帯血を含む臍の緒は、つい最近まで、出産後不要となるものでした。 医学の進歩により、臍の緒に、骨髄と同様、血液細胞を作り出すもとになる「造血幹細胞」が、臍帯血としてたくさん含まれていることがわかったのです。

なぜ臍帯血(さいたいけつ)が注目されるようになったのか

骨髄移植で必要なものは、骨髄液に含まれる「造血幹細胞」です。 臍帯血はその造血幹細胞を多く含んでいますから、臍の緒をもちいて、骨髄移植と同様の治療を行うことができるのです。 臍帯血による治療を「臍帯血移植」といいます。 骨髄バンクを介した移植は年間900例以上行われていますが、それでもなお、移植を受けられない患者さんが大勢います。 骨髄バンクのドナー数が増えているとはいえ、十分とはいえない現状。 その理由は、患者さんとのコーディネートに時間がかかり、移植を待てない場合があるという点などがあげられるようです。 今までは、骨髄の型が合うドナーが現れるのをひたすら待つだけだった患者さん達。 臍帯血移植の登場で、希望する患者さんの90〜95%に白血球の型の適合する臍帯血が見つかるようになりました。 お腹の中の赤ちゃんを育てた臍の緒は、その大事な役割りを終えてから、もう一つの命を救う役割りを持つことができるのです。

命のチェーン

長く先祖からつながって生きている私達人間の、未来への橋渡しをしてきたともいえる臍の緒。 不治の病を背負った人の命をも救う、奇跡のチェーンとしての存在意義を得ました。母体から離れてもなお、他の命の再生となる役割を果たせる「臍帯血移植」。 『母は偉大なり』、そして『臍の緒は神秘なり』。だからこそ、『命尊きなり』と気づかされます。

臍の緒の役割

人類を含めた哺乳類が、子を宿す母の胎内。外界に生まれ出るまでは、臍の緒が、栄養を取り入れるための大切なパイプの役割を担います。 例えば、私達の周りにいる猫の出産の場合などは、子猫を産み落とした母猫は、子猫の身体をすぐに自らの舌で舐めてきれいにします。 そして、胎盤など後産の物に混じる臍の緒も、すぐに食べて始末します。 私達人類は、長い間、出産後の臍の緒を不要のものと考えてきました。 昭和に入ってからしばらくの間もほとんどの出産が、お産婆さんの手当てにより、自宅で行われることが日常でした。 その時代、臍の緒はほんの少しだけ記念として、桐の箱の中にとりおかれたものです。

役割の増大

近年、臍の緒の中に、血液をつくりだすもととなる「造血幹細胞」が含まれていることがわかってきました。 現在は、白血病など血液の病気の治療に広く役立てられているのです。 さらに近年では、体の組織や臓器をつくる、幹細胞というものまで含まれていることが分かってきました。 臍帯血を再生医療に利用するための研究が、現在世界中で進められています。